長野県の多くの地域は、急峻な土地が多く寒冷な地域だったため、昔からソバやハトムギを原料とした食品が米の代わりに食べられていました。「おやき」は、そういった食環境から生まれたひとつです。かつては小麦粉、蕎麦粉や雑穀の粉を練って作った皮を使い、あずき・野沢菜・茄子・おから・きのこ・干し大根などの惣菜をあんにして饅頭状に形を整えたものを、表面を軽く焼いて熱い灰の中に入れて蒸し焼きにするのが一般的でした。各家庭から囲炉裏が無くなってからは、その製法も様々となりました。具材の幅も広がり、いまでは信州のソウルフードとして根強い人気商品となりました。